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2001年7月アーカイブ

 最終段階のマスターリング(?)が19日にあり、すべてのレコーディングが終了しました。全曲の音味や音域、レベル等々を整える作業ということでしょうか、簡単に言うと。それでもほぼ9時間くらいかかったでしょうかね?。これで私達の手を完全に離れてCD盤となるのを待つだけです。約一ヶ月に及ぶレコーディングの日々を振り返ってみてホントに重労働だと改めて思いました。ただ今回は'人'のバランスが良かった。それぞれの分担を責任を持って果たしてくれたので無駄なく、スムーズに運んだのだと思います。プロデュースの健ちゃん、バンマスそして今回'詞'を担当してくれた土田さんにはホントに感謝しています。時間のない中、諦めずに作り上げてくれました。本当に有難う。そして全ての関係者の皆様ありがとうございました。21世紀初のリリースを8月に控え、ここから新たなるスタートをしたいと思います。迷う事なく明日に向かって行きましょう!。

 さて私は、その翌々日には札幌に飛んでおりました。サッカーの'コンサドーレサッポロ'と横浜マリノスの開幕戦が札幌ドームであったからです。今評判のこのドームは人工芝と生(?)の芝が入れ替えられると世界中で注目されているドームです。新しいピカピカのドームはきれいですばらしい!。4万人強収容出来るのだそうです。この開幕戦で私は試合前のセレモニーである「君が代」を斉唱したのです。歌っている方も感動しますよ。前にも経験があるのでニ度目なんですが、こればかりは何度やっても感動します。この日も「歌手冥利につきる」一瞬を味わいました。試合の方は1ー1の引き分けに終わりましたが、真新しいドームですばらしいゲームが繰り広げられたようです。翌日私は十数年ぶりに叔父、叔母達4人と定山渓温泉に一泊、懐かしいひとときを過ごして東京に戻りました。東京は相変わらず茹だるような夏日が続いています。しかし私にとってはこれからが勝負です。久しぶりにプールにでも行って身体をほぐしてきましょう!。もうひと踏ん張りしなきゃ!!。
 7/6(金)4、5と二日間疲れきってぼ〜っとしながらも、コラムの締め切りとコンサートに行く予定があったので気ぜわしく過ぎてしまいました。何だか今日はよけい疲れが出て来た気がします。しかしそんな事は言っていられません。今日からTDがスタートです。最後の最後に全体を見渡し、バランスをとって、より世界を輝かせてくれるであろうこの作業で完成にこぎつけるのです。ここからがもうひとリのミュージシャンと呼ぶべきエンジニアの仕事となります。これまでは比較的おまかせ状態でどんな風に仕上がるかを楽しみに待っていた私達でしたが、今回は若い芹澤さんと一緒に作り上げて行く事になります。まだまだ手は離せません。夕方にスタジオ入りすると既にバンマスが真剣なまなざしで座っていました。横には、これまた神妙な顔の土田さん。いきなり、セリセリはたばこを吸っています。アレ!!いつものデスクの上には灰皿と開茶(どう見てもお酒の徳利に見えるんだけど)と小枝チョコの箱が置いてあります。それでなくても狭いデスクはいっぱいですがきちんと(?)定位置が決まっているようです。デスクの手前右端にタオルが小さくたたまれて時々、
汗ばむ手を拭いているようです。それだけではなく頭が煮詰まって来た時に、眠気覚ましにまたは、気分転換のため顔を洗いに行く時の必需品です。たばこ、お茶(なぜか開茶)小枝チョコ、この3点セットがセリセリのTDアイテムらしい。翌日も同じセットが同じ位置に置かれていましたので。初日だから比較的楽そうな曲から行くと思いきや、何と大変そうな1曲目から来ましたか。「A  WAY 」は何しろまとめるのも、全体のイメージも一番難しそうだな・・・と内心みんな思っていたのです。案の定時間がかかりました。ノルマは一日二曲です。とにかくやっつけなきゃ・・・。結局2曲は今日の段階で形になりました。それぞれ心にひっかかりをもちつつも帰途につく事に。もうすぐ明るくなりそうな明け方3時半になっていました。

 7/11(水)TD二日目。初日の2曲の反省点をふまえつつ、新たな気持ちで取りかかりましょう。今日の課題はいかにリズムを全面に出してグルーブ感を出すか。これまでの経験から全体のイメージは、そう'ざっくりとした音味'に仕上げるのがいいと全員一致。今日それが作れれば見通しが明るくなるのですが。セリセリとはだんだん意志の疎通も出来て来て思った方向に仕上がって行っています。良かった。ペースも上がって来て予定通りに2曲上がりました。今日は旅帰りともあって我々みんなドロドロなので早々に引き上げる事に。なが〜い一日ホントにお疲れさまでした。

 7/13(金)明日はまた私達ステージなので今日はサッサと仕上げて帰りましょうね、というふれこみで臨みました。セリセリの意向に曲はおまかせ。みんなの事も考えて比較的見え易い曲を選んでくれたようです。とは言いながら、個人的にはちょっと歌が今一つ引っ掛かっていた崎谷さんの曲となりました。不安です。結局崎谷曲の日となりましたが思った以上に良く上がりました。やれやれ一安心です。早めに帰って来て確認のために聴いてみましたら一曲目がやっぱり気になってしまう。何だかイメージが違う。これはやっぱりやり直そう、と判断。バンマスも納得してくれて最終日に手直しする事に。心の中で私も自分の歌について自問自答。
やれるならやり直そうとこの時決めていました。

 7/16(月)箱根プリンスホテルのステージを無事に終えて、昨日はほんのひとときリゾート気分を満喫させてもらいました。帰途の2時間余りでしたがいい空気の中で、青々とした緑を眺めながらのお茶は美味しかった。ゆったり気分を味わいました。そして今日、事実上TD完成予定。残り3曲を何とか仕上げて明日の一日を手直しや、見直すための時間にあてたい。実際、やらなければならない事があるのですから。みんな何も言わないけどそのつもりでいます。今日はちょっと長丁場になるぞ・・・・。

 7/17(火)昨日は何とか頑張って予定の3曲を上げました。実際、最後の「 I  WISH 」に至ってはほとんどいいと思うんだけど・・・いうところで終了させましたけど。朝4時半になって思考能力がおちて来たからです。今日一日でとにかくすべて終わらせないといけません。ちょっと寝不足気味ではありますが悔いを残さないようにやるだけやりましょう。半日もたたない今日、一足先にバンマスと芹澤さんは既にスタジオに。先日の崎谷曲にシンセ・ベースを足していました。'やるだけやろう'の精神でとにかく今日、気掛かりな部分をやっつけてしまいたい。今のところ3曲の見直しと昨日完成に至らなかったI WISH が残っています。無駄なく急ピッチでやらないと・・・。崎谷曲は思惑通り手を入れて大正解でした。みんな納得。きりのいい所で夕食。いつもの食堂(カーニバルという名前でした)ですっかりお知り合いになったお店のみなさんにも最終日である事を告げ、定番の定食をいただきました。店長さんが「大橋さんは北海道だよね?」とデザートに夕張メロンをふるまって下さいました。前にもコーヒーを出していただいたり、色々サービスして下さいました。憩いの場でもあった訳で皆さんにホントに良くしていただきました。ありがとうございました。さて、いよいよ初日の2曲のやり直しです。まず一曲はリズムのバランスと音色の見直し。もう一曲はすっかり方向を変える作業ですからちょっと時間がかかるでしょう。でもやってみるもんです。何となくみんなが思っているイメージが一致していてその形に見事に仕上がったのです。私の気掛かりだった歌の部分も解消しました。良かった、良かったと言う間もなく最後の「I WISH 」の続きです。正真正銘最後の曲にとりかかります。これはほとんど昨日の段階で仕上がっていたので楽勝です。冷静に見渡せるはず。でも時間はもうすでに昨日と同じ時間になっています。やっぱり・・・聴き直してみたらすこしクールになりすぎてる。と言う訳で手直し。とりあえず全曲仕上がった!!と感動する間もなく、曲順を並べて全曲を通して聴き終えたのは朝6時頃になっていました。ホントに良く頑張りました。皆さんお疲れさま。本当にありがとうございました。
 7/2(月)いよいよレコーディングも今日、明日の二日間で全ての録音が終了の予定。私も歌は残すところ1曲となりました。どうしても最後の最後になってしまうのがコーラスです。もちろんコーラスが入った後でからみのいいフェイクを入れる場合もあるので結局は、私がやっぱり最後まで残るのですが。やっとバンドの花であるコーラスのお二人の登場となりました。おまたせ!!。今回コーラス・アレンジは健ちゃんにやってもらったので、ディレクションも当然健ちゃんだけ。という事はいつになく女性が多くてスタジオ内も華やかです。(後でこの模様を聞いたらロクさん、きっとうらやましくて悔しがるでしょうね)何たって'ABデコーズ'はそれでなくても弾けてるんですから。声はでかいわ、良く喋るわ、(いやいや明るくていい性格という意味です)とにかくアッパーなんです。あの物静かな芹澤さんも笑う、笑う。初対面の芹澤さんをいつの間にか'セリちゃん''セリセリ''セリぴょん'、やってくれますよ。それにしてもこの二日間で7曲という、これまたハードな仕事をしてもらわなくちゃならない訳でして。楽しく、いきおいに任せて乗り切るっきゃないでしょ!。録り方の方針も決まっていざ、先ずはやっかいな曲から片ずけちゃいましょう。食事前までには2曲やってしまわないとね。'セリセリ'(?)の手際のいい、迅速な作業にも助けられて予定通り録り終えました。あのスティービーの「I WISH 」もノリノリでアっという間に終了。華やかさが加わりゴキゲンになりました。この気分のまま食堂へ直行。あまりのハイな気分にまかせて思いっきり食べたものですから、この後の私は大変。最後の一曲の歌には手こずりました。これで終わるという気分がそうさせるのか、お腹がいっぱいすぎるのか、集中力に欠けて思ったより時間をくってしまいました。ア〜ァ・・・疲れた、ホント。

 7/3(火)正真正銘レコーディング最終日です。コーラスは残り、5曲。何しろ5曲もあるのです!。いつもの明るさを振りまきつつも、ちょっと緊張気味のサエちゃんとアッコねえさん。(そりゃぁそうよね、よろしくお願いしますね)でも、流石です。食事前には3曲仕上げてしまいました。食事の後は空気に余裕さえ感じられ、いつもの笑い声が聞こえ出しました。'セリセリ'も今日はまた、いつにもまして手早く作業をしています。みんな気持ちは一緒です。何しろ早く「録音」を終了させたい、の一心で取り組んでいるのですから。
11時半過ぎ、すべてのダヴィングが完了しました。パチ、パチ、パチ・・・拍手にて「おつかれさま〜!」と唱和し、ABデコーズは一足さきに去って行きました。この後私達は'セリセリ'?(失礼)、芹澤さんと6日からのTDの確認など軽くして帰途につきました。とりあえず、『芹澤さん本当にお疲れさま、有難うございました。』この後もうひと踏ん張りよろしくね。私は・・・というと、まだ細かいところをやり残しているので何となくスッキリとしないような・・・。あとはTDの合間とかかな・・なんて事を思いつつ、今日はとにかくゆっくり寝て明日整理をすることにしましょう。先ずは'お疲れさま'のビールよ!!。
 6/25(月)二日間、スタジオがお休みでいよいよレコーディングも中盤戦に入りました。今日は午後から先ず、サックス(セクション)の録音から始まりました。いい感じでバンマス言うところの'クゥインシー'っぽい、オシャレなフレーズが心地よく聴こえています。後藤さんはB型特有のそううつ病だ、と言いながら苦虫を潰したような顔をしています。みんな慣れたもんで「そうなの?」って。「今年は早いんじゃない?!、いつもは秋口なのにね」ってバンマスすかさずつっこむ。とか言ってる内にタマちゃん登場。うつの後藤さんは次に向けて退場。タマちゃんは先日のぶっちぎり、パンクなギター・ソロと打って変わって今日はしっとりとあたたかいアコースティック・ギターを入れてます。バラードの曲によりいっそう深みと広がりが出て、歌に情感がこもったように感じます。切なさがたまりません。予定通り7時前には終えて退場。入れ代わりにウエちゃんがやってきました。なんだかんだみんな忙しいスケジュールの合間をぬってダヴィングに来てくれています。だんだん時間との勝負になってきています。私は明日、明後日と歌入れですがその前後にバンマスはこまごまとしたダヴィングをしてオケを仕上げていくのです。いくら時間があっても足りないくらい、こだわればこだわるほど先の見えない作業です。キリをつけると言うか、諦めると言うか・・・。だから次が待ち遠しいのですけどね。これまでの音をちゃんとチェックして来て、今日のノルマが一つ終わる毎にハナマルを付けているバンマスの何と可愛い事!!。今日は遅くなるのを覚悟で出来るだけ頑張ると言っています。御苦労さまです。

 6/26(火)私の方も歌入れが押し寄せて来ました。今日、明日は歌だけのためのスタジオであり、この二日間で3曲仕上げるのがノルマです。体調と時間配分、どの曲からやりだすか・・・。何たって'なまもの'ですから歌い出してみなければ調子がつかめないんです。みんなの予想に反して難曲からきめる事にしました。
今回初めてトライする崎谷さんの曲です。思ったよりスムーズにとり終えたのは自分でも以外でした。よし、この調子で・・・と思ったとたんフリーズ。何だか日増しに固まりだして来てたのでメンテしてもらったはずじゃなかったっけ?!。それとも私のせい?!、と言いたくなっちゃう。ちょっと悲しい気分だけど明日に備えて早めに終了。

 6/27(水)今日のノルマは2曲なのでいつもより早めにスタジオ入りしました。御飯の前に一曲、後に一曲と振り分けたのですが意外にスッといけたので前から気になっていた曲を再トライすることに。あれ、今日はどうしたんだろう?。えらく調子が良くてこれもスッと仕上がっちゃった!。やっと気掛かりだった曲もやり直せたし、ノルマも達成・・・・エエイ!、こうなったらやれる時にやっちまおう!!ってんで、次の曲に突入。これも難曲ではあります、初登場の大坪さんの曲です。12時半も回って少しもうろうとはして来てるのですが気持ちはまだまだ燃えてます。明日から3日間休みだと思うからでしょうか?、気力はまだ萎えてないのです。よし!!、ダメもとでやっちゃいましょう!と取りかかりました。さすが付き合いの長い健ちゃんです。歌のディレクションはもうずっと、やってくれているので声の調子で'取り時'はお任せ。とは言いつつやはり声もそろそろ眠りに入りかけたギリギリで録り終えました。おつき合い下さった皆さまお疲れさまでした。時間は夜中の3時少し前となっておりました。結局4曲録音したことになりました。何ごとも気力ですかね・・・?。

 7/1(日)月がかわって今日の予定は後藤さんのサックスダヴィング最終日。いよいよレコーディングもラスト・スパートってとこでしょうか。バンマスも自分のやる事は(26日歌の前に)やり終えているので今日はアレンジャーとしてサックスのディレクションに来ています。何となく余裕のある雰囲気をかもしだしているような・・・?、妙にさっぱりと空気がさわやかに感じられます。髪がいつもよりふんわり、頭が一段と大きく見えるのは気のせい?!。対照的にまだ鬱から抜けていない(?)後藤さんのいるブースは何だかおもた〜い空気がたまっているみたい。(今日は出番がいっぱいあるものね・・・)実は今日は日曜日につき、いつもの食堂(?)がお休みなので私はカルメン・オザワとみんなの夕食を調達して夕方にスタジオ入りしたので
す。丁度アメリカの友人からチェリーが届いたのでそれも持参してきたのですがこれがアタリでした。ブースから出て来た後藤さん、「わ〜いボク、チェリーだ〜いすき!」ってパクパク。「まだ鬱なの?」って聞いたら「ううん、もうとっくに抜けた」って。な〜んだ、扁桃腺の後遺症で調子が今いちだっただけか、???。
その後は割とスムーズに、なんだかんだ言ってステキなソプラノ・サックスのソロを吹いて終了。気が重いのはこれから出番の私の方よ!!。今回のアルバムの'ウリ'の一つである、スティービー・ワンダーのカバー
曲にいよいよ挑むのです。前に一度後藤さんがつれて来たニューヨークの若者、ジャスティンが発音のチェックに来てくれました。曲はごきげんな『I WISH 』ですが恐れ多くもスティービーですぞ!。武者震いをしつつもいい感じに私流に仕上げたい。ジャスティンはIQが180以上ある頭のいい、ヘンナ(?)奴とは後藤さんの弁。手際のいい説明とチェックに3、4回歌っただけで決まりました。サンキュー、ジャスティン。心地よく軽やかな歌が録音出来ました。後は明日、明後日のコーラスでもっとごきげんになるはずです。乞う御期待ということで、気分も軽く早々と引き上げる事に。メンバーの皆さん、そしてバンマス、とりあえず『お疲れさまでした!!』