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21世紀初のレコーディング日誌 その 6

 6/25(月)二日間、スタジオがお休みでいよいよレコーディングも中盤戦に入りました。今日は午後から先ず、サックス(セクション)の録音から始まりました。いい感じでバンマス言うところの'クゥインシー'っぽい、オシャレなフレーズが心地よく聴こえています。後藤さんはB型特有のそううつ病だ、と言いながら苦虫を潰したような顔をしています。みんな慣れたもんで「そうなの?」って。「今年は早いんじゃない?!、いつもは秋口なのにね」ってバンマスすかさずつっこむ。とか言ってる内にタマちゃん登場。うつの後藤さんは次に向けて退場。タマちゃんは先日のぶっちぎり、パンクなギター・ソロと打って変わって今日はしっとりとあたたかいアコースティック・ギターを入れてます。バラードの曲によりいっそう深みと広がりが出て、歌に情感がこもったように感じます。切なさがたまりません。予定通り7時前には終えて退場。入れ代わりにウエちゃんがやってきました。なんだかんだみんな忙しいスケジュールの合間をぬってダヴィングに来てくれています。だんだん時間との勝負になってきています。私は明日、明後日と歌入れですがその前後にバンマスはこまごまとしたダヴィングをしてオケを仕上げていくのです。いくら時間があっても足りないくらい、こだわればこだわるほど先の見えない作業です。キリをつけると言うか、諦めると言うか・・・。だから次が待ち遠しいのですけどね。これまでの音をちゃんとチェックして来て、今日のノルマが一つ終わる毎にハナマルを付けているバンマスの何と可愛い事!!。今日は遅くなるのを覚悟で出来るだけ頑張ると言っています。御苦労さまです。

 6/26(火)私の方も歌入れが押し寄せて来ました。今日、明日は歌だけのためのスタジオであり、この二日間で3曲仕上げるのがノルマです。体調と時間配分、どの曲からやりだすか・・・。何たって'なまもの'ですから歌い出してみなければ調子がつかめないんです。みんなの予想に反して難曲からきめる事にしました。
今回初めてトライする崎谷さんの曲です。思ったよりスムーズにとり終えたのは自分でも以外でした。よし、この調子で・・・と思ったとたんフリーズ。何だか日増しに固まりだして来てたのでメンテしてもらったはずじゃなかったっけ?!。それとも私のせい?!、と言いたくなっちゃう。ちょっと悲しい気分だけど明日に備えて早めに終了。

 6/27(水)今日のノルマは2曲なのでいつもより早めにスタジオ入りしました。御飯の前に一曲、後に一曲と振り分けたのですが意外にスッといけたので前から気になっていた曲を再トライすることに。あれ、今日はどうしたんだろう?。えらく調子が良くてこれもスッと仕上がっちゃった!。やっと気掛かりだった曲もやり直せたし、ノルマも達成・・・・エエイ!、こうなったらやれる時にやっちまおう!!ってんで、次の曲に突入。これも難曲ではあります、初登場の大坪さんの曲です。12時半も回って少しもうろうとはして来てるのですが気持ちはまだまだ燃えてます。明日から3日間休みだと思うからでしょうか?、気力はまだ萎えてないのです。よし!!、ダメもとでやっちゃいましょう!と取りかかりました。さすが付き合いの長い健ちゃんです。歌のディレクションはもうずっと、やってくれているので声の調子で'取り時'はお任せ。とは言いつつやはり声もそろそろ眠りに入りかけたギリギリで録り終えました。おつき合い下さった皆さまお疲れさまでした。時間は夜中の3時少し前となっておりました。結局4曲録音したことになりました。何ごとも気力ですかね・・・?。

 7/1(日)月がかわって今日の予定は後藤さんのサックスダヴィング最終日。いよいよレコーディングもラスト・スパートってとこでしょうか。バンマスも自分のやる事は(26日歌の前に)やり終えているので今日はアレンジャーとしてサックスのディレクションに来ています。何となく余裕のある雰囲気をかもしだしているような・・・?、妙にさっぱりと空気がさわやかに感じられます。髪がいつもよりふんわり、頭が一段と大きく見えるのは気のせい?!。対照的にまだ鬱から抜けていない(?)後藤さんのいるブースは何だかおもた〜い空気がたまっているみたい。(今日は出番がいっぱいあるものね・・・)実は今日は日曜日につき、いつもの食堂(?)がお休みなので私はカルメン・オザワとみんなの夕食を調達して夕方にスタジオ入りしたので
す。丁度アメリカの友人からチェリーが届いたのでそれも持参してきたのですがこれがアタリでした。ブースから出て来た後藤さん、「わ〜いボク、チェリーだ〜いすき!」ってパクパク。「まだ鬱なの?」って聞いたら「ううん、もうとっくに抜けた」って。な〜んだ、扁桃腺の後遺症で調子が今いちだっただけか、???。
その後は割とスムーズに、なんだかんだ言ってステキなソプラノ・サックスのソロを吹いて終了。気が重いのはこれから出番の私の方よ!!。今回のアルバムの'ウリ'の一つである、スティービー・ワンダーのカバー
曲にいよいよ挑むのです。前に一度後藤さんがつれて来たニューヨークの若者、ジャスティンが発音のチェックに来てくれました。曲はごきげんな『I WISH 』ですが恐れ多くもスティービーですぞ!。武者震いをしつつもいい感じに私流に仕上げたい。ジャスティンはIQが180以上ある頭のいい、ヘンナ(?)奴とは後藤さんの弁。手際のいい説明とチェックに3、4回歌っただけで決まりました。サンキュー、ジャスティン。心地よく軽やかな歌が録音出来ました。後は明日、明後日のコーラスでもっとごきげんになるはずです。乞う御期待ということで、気分も軽く早々と引き上げる事に。メンバーの皆さん、そしてバンマス、とりあえず『お疲れさまでした!!』