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2005年10月アーカイブ

 編集長のウエちゃんが写真をアップしてくれたので、バンマス&ウエちゃんのコメントを読みながら、私も洋上ライブを振り返ってみようかと思います。長い事この仕事をしているけど、船でのステージは初めての事。いや、その昔に一度だけフェリーで演奏した事がありましたっけ・・・美乃家セントラルステーションで活動しだした頃、もちろん初代のメンバーです。封印された『悪夢』とでも言いましょうか・・・。

 頃は夏。夏休みを兼ねて「北海道ライブ・ツアー」をやろう、と言う話が持ち上がりました。遊び気分でいいじゃない!、と一同ウキウキ気分です。北海道の苫小牧までフェリーに乗せてもらう代わりに、船内で2回(だったかな?)ステージをやるのが条件です。道内に入ってからは、楽器一式とメンバーがバンと乗用車に分乗してのロード・ツアーの予定です。仕事はその時のマネージャーが、さる放送局に手配してもらっているから大丈夫・・・との事でした。確か、全行程12日間のツアーでした。

 さて出発当日です。思えば、集合場所から悪夢は始まっていたのでした。思ったよりフェリーは大きかったです。へー・・・なんて、言ってる場合じゃありません。地上から4階くらいはあろうか、と言う搬入口に楽器を入れるのです。自分達で!。それも手持ちで!!!。うっそ~~~~!!!。2時間以上はかかったんじゃないかしら?。やっと乗り込んで、やれやれ。最初からどっと疲れてみんな口もきけません。用意された部屋は2段ベッドが両壁にセットされていました。4人いや、6人部屋だったかしら?。寝台車に乗った気分です。もちろん私もそのベッドの一つに寝る訳で、女だろうが何だろうがお構い無しのようです。それでもみんな気分が落ちないよう、明るく盛り上げていたように思います。とにかく苫小牧までだから・・・って。たった二晩のしんぼうさ!。

 そして夜になり、いよいよステージです。小さな不安をかなぐり捨ててさあ、盛り上がろう!。こじんまりとセットした楽器をバックに立つ私。この時代です(30年近く前です)。ボーカル・アンプにスピーカーと、かなりコンパクトです。場所はサロンと言ってもいわゆる、休憩所みたいなものです。一体、船のどの部分にあたるのか、ゴーっというエンジン音?が地鳴りのように響き渡っているのです。ハッキリ言って、歌なんて聞こえるの?って感じ???。おまけに途中、船が大きく揺れたからもう、大変。スピーカーも楽器も、左右にザザ-ッと動くのです。立っている私達もその都度と、と、と、っと、駆け込む。今思い出してもマンガみたいでしょ?!。それでも約40分のステージをちゃんとやってのけたんです!。足を踏ん張って!!。(力の入る所が違う気がするんだけど)いやはや疲れました。

 やっと苫小牧には着いたけれど・・・そう、楽器を下ろして、車に積み込んで・・・いざ、出発!。ここからがまた、苦難の続出となったのでした。予定されていた仕事というのが、これがまた「とんでもない!」仕事ばかり!!。公開録音というふれこみのはずが、どうよ?!。家具展示場での客寄せ、温泉旅館の大広間、ディスコ・バンドのトラ、お祭りのイベント、やっとホテルでの仕事かと思いきゃ、パーティーのダンス・バンドときたもんだ。行く先々で『話が違うじゃない?!』って、マネージャーに詰め寄ったってどうにもなるもんじゃない。事ごとく裏切られ、次第にみんな無口になって行く。結局、「放送局の人」というのにしてやられたって事?!。『大橋純子&美乃家セントラルステーション』を歌謡コーラスバンドだと思った、と言ってたとか・・・。ホント、情けないったら!、とほほよ。仕事を半分程キャンセルしてもらい、さんざんな思いで北海道から帰って来たのでした。その2年後くらいかな・・・?、我らがブレイクしたのは?。

 と、こんな『悲劇の船上ライブ』に比べたら、いや、比べ物になりません!!!。今回は外国航路の豪華客船で、セレブな方々をもてなすディナー・ショーですもの。そうよ、こうでなくっちゃ!。まるでホテルそのものが海を走っているような感じ?。優雅な気分で、洋上ライブを満喫させていただきました。『揺れ?』、『ちょっと立ちくらみかしら?』くらいのものよ。ハ、ハ、ハ。
 その約10日後(収録スタートの3日前)がマリーンさんとのリハーサル。一回きりのリハーサルにもかかわらず、なかなか曲目が出揃いません。気にはなりつつも、私はその間アカペラとボサノバに四苦八苦。毎日コツコツと積み重ねるしか手はありません。体で覚えるってやつですか?!。慣れる事が安心材量になりますから・・・ね。その間に、今回の司会を担当して下さる服部真湖さんとの打ち合わせ。彼女とは何度か顔を合わせているので心配はありません。4年くらい前にドラマ(?)で御一緒して以来かな?。今だから言うけど、私にとっては最初で最後のドラマ出演ですよ。ほんの一瞬だったけど、ビビりました。プロの俳優さん達に失礼だから二度とやるまい、と心に決めた一瞬でもありました。苦い思い出です。(とほほ・・)

 3日間の司会を真湖さんが担当して下さるので、大分気持ちが楽になりました。その部分は彼女にお任せして、大船に乗ったつもりで歌に専念出来るでしょう。ありがたい!。

 さて、そうこうしている内に曲も出揃いました。これで流れも見えて後は、リハーサルに臨むだけ。斉藤ノブさん、久米さん、櫻井さんは、よ~く知っている仲です。3人とは、7月にライブを御一緒したばかりなので安心です。何たって、幼なじみの様なノブちゃんが付いてますもの。うまく仕切ってくれるでしょう!。そして、共演は10年ぶりくらいになるでしょうか?。マリーンさんと一緒に歌うのはもちろん、初めてです。お話をちゃんとしたのも今回が初めてだった、と言うのが以外でした。今は佐世保に住んでいるそうです。仕事の度に家族と離れるのが寂しい・・・と、幸せそうに言ってました。そのマリーンさんとデュエットも実現しました。彼女が日本に来て、初めて耳に残ったと言う『ビューティフル・ミ-』を二人で歌う事になりました。この日はお互いのこれまでで「心に残った曲」、「運命を変えた曲」がテーマです。リハーサルで彼女の歌を聴いていると、やはり『外人』なんだ・・・とつくづく。変な言い方ですが。大人っぽさと表現力がすばらしく、正統派にして、とにかく上手いです。

 こうして3日分のリハーサルを終え、不安は抱えつつも収録の日を迎えました。もう、開きなおるっきゃないでしょ?!。一日一日、無心にして全力投球するしかありません。収録と言ってもお客さんが入り、あたかも『生』のように撮って行くのが、この番組だそうです。結構緊張しますよ。始まってみれば、アッと言う間の3日間。大きなトラブルもなく、スムーズにやり終えました。意外に落着いている自分にもビックリ!。人間、開きなおると案外冷静なものです。リハ-サルより何より、本番が一番うまく行ったのが幸運でした。出演者の皆さん、ホントにありがとうございました。そして来て下さったお客さま、連日来て下さった方もいらっしゃいましたね。ありがとうございました。スタッフの皆さん、お世話になりました。制作プロデューサーの一人は、日に日に痩せて行くのがわかり、お気の毒な事をしました。何はともあれ、ホントにお疲れ様でした。後はオン・エアを待つのみ!。乞う御期待!!!。
 先ず、最初のリハーサルはチキン・ガーリック・ステーキさんとのジョイントでスタートしました。もちろん、初対面です。リハーサルも楽器が一切ないので、ほんの2~3時間です。30~46歳という幅広いメンバー6人での編成(全員男性です)。ストリートからスタートして、もう15年というキャリアのグループです。神戸ではかなりの知名度があり、コンサートもいつも満員だそうです。最近までホントに趣味で、歌っていたと言ってました。それぞれ定職を持ち、休日に集まって練習していたそうです。とにかく歌うのが楽しい、ハモるのが気持ちいい、その気持ちだけで続いて来たそうです。姿勢がホントにすばらしい。皆さん温和で人柄も良く、ハーモニーにそれが出ていましたよ。

 私にとっては何しろ、初めての経験です。せ~ので歌い出す訳で、初めは戸惑いました。ドラムパート、ベースパートのヴォイス・パーカッションが入るとなるほど、ちゃんとオケに聴こえます。私はその6人の声に乗っかって歌うわけです。でもこれまでのコーラスに入る、というのとはチョット勝手が違います。一人でもリズム、音程が崩れるとおしまいですから。緊張感はかなり、ありますよ。だから輪とノリが、息を合わせるのが大変なんです。音量のバランスもありますしね。流石にみんな息がピッタリ、バランスもバッチリでした。後は、私がちゃんとハマれば・・・と、言う事になりますか?!。

約1時間半のリハーサルで初日は終了。私なんかもう、ボ~ッとしちゃって脱力感でした。一体、ちゃんとやれるんだろうか・・・不安だらけですもん。内心、大変な事にチャレンジするハメになっちゃった・・・と、ちょっぴり後悔。何とか、収録前日に再度リハーサルをお願いして帰って来ました。数日はどよ~んと暗い気持ちになりましたよ。この後には他の二日間のリハーサルも控えているし、頭はいろんな心配事が渦巻いて来ます。あれも、これも・・・ダメ、ダメ、ここは気持ちを切り換えて、ひとつづつに集中。次は南さんとのリハーサルが控えています。今はアカペラを置いといて、ボサノバだ!。それが終わったらマリーンさんとのリハーサルだ!。自分に言い聞かせながら日々を送りつつ、収録に向ったのです。

収録前日に再度のリハーサルをやったお陰で、チキンさんとはいい交流が出来、少し落着きが戻りました。今回は私のオリジナル曲にもチャレンジしていただいたのですが、アレンジもすばらしく(あっちゃん、ありがとう)、聴き応え十分な仕上がりです。後は聴いての、見ての、お楽しみ!!!。

 さて話は戻りますが、チキンさんとのリハーサルの3日後にはボサノバのリハーサルが控えていました。南さんとは正真正銘、初めて声を合わす訳です。セル・メンと言えば新川さんですが、彼とも20年ぶりくらいです。アレンジはオリジナル曲に限りなく近く、再現されていました。二人のオリジナルも一曲づつやるのですが、こちらもすっかりボサノバ色になってます。これが思った以上に大変だった。いつもの歌が別の歌のように思えて、思わず歌詞を忘れそうになっちゃう。他にも、あれ程聞き込んだセル・メンの曲が実は、すごく難しかった。心地よく流れるのですが、リズムとキレが独特なんです。おまけにポルトガル語よ!。こだわりの南さんに至ってはその昔、ボサノバを歌うにあたって語学の学校にまで行ったそうです。頭が下がります。ドラムの吉田さんは本場仕込みのノリを出し、ギターの古川さんはキレのいいカッティングであおって来ます。ポルトガル語が話せる吉田さんからは発音チェックも入ります。私など「もどき」どころか、「ハナモゲラ語(?)」で開きなおるしかありませんよ。約3時間半、この日も重た~い気分で帰途に着いたのは、言うまでもありません。あ~あ、この先どうなるんだろう・・・。つづく