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2004年3月アーカイブ

 レコーディングに欠かせないのは何と言っても、ミュージシャンの方々でしょう。このアルバムもお馴染みの皆さんに御登場いただきました。信頼出来る我が仲間達です。先ずはベースの六川さん。コンセプトである『AOR』と言えば、「音味」も「ノリ」も「ムード」も体でわかっているはず。言わずとも、曲の雰囲気はつかんでくれます。「何だか、美乃家の時のレコーディングみたいだね」って言いながら、うれしそうに弾いてくれました。「ホント、20代のあの頃に戻っちゃうね!」って、私。長いコンサート・ツアーが終わったかと思うと、レコーディングに突入。一年のほとんどを、顔を突き合わせていたんだものね、あの頃。今回はシンセ・ベースのフレーズに生ベースを重ねると言う、苦労の場面もありましたが、いいグルーヴしてましたよ。何と言ってもホントに、音がいいんだ!。

 『美乃家』と言えば、土屋昌巳(マ-坊)さんの抜けた後にメンバーに加わったのがこの人、土屋潔(オッサン)さんです。その後、『美乃家』解散まで付き合ってもらいました。解散後も何かと付き合っていただき、現在に至です。とにかくセンスがいい。「いぶし銀のオッサン」と言われるくらい、マ-坊とは又違った意味で過激な、独創的なプレーを聴かせてくれます。『渋め』なんですよ。このところアコースティック・ヴァ-ジョンのライブで付き合ってもらってます。今回もアコースティック&エレキ・ギターで、数曲演奏していただきました。とにかくギターが好きで、楽器が好きで、改造(?)が好きで・・・今回はどこぞで見つけた、4500円のエレキ・ギターが登場して場をわかせてくれました。じっくりとコツコツと私達の注文に応えてくれる、心強い仲間の一人です。(根が真面目ですから)

 そして、この人も『美乃家』で寝食共にして来た仲間です。サックスの後藤輝ヲさん。六川さんの後輩で、今のバンドでもいつも、二人セットで行動(?)しているようです。音色、瞬発力、フレーズは日本人離れしていてバツグン!。二人といないサックス奏者だと思います。「B」型の典型のような性格は、端で見ていてもわかりやすく、面白い。憎めない、心優しい人物です。ステージでも私達をハラハラさせたり、笑わせてくれたり、盛り上げてくれたりと、サービス精神は旺盛。この人も六川さんも何故か、オッサンには頭が上がらないから面白い。オッサンの一喝は、その当時から鳴り響いておりました。今回は後藤さんにはテナーとアルト・サックスのソロで登場していただきました。どちらも「そう状態」だったのか、『早い』『うまい』で驚かされました(失礼!)。

 このアルバムは狙った訳ではありませんが、「名ギタリストの競演」とでも言うべき仕上がりになりました。前回に続き、徳武さんの登場です。この方もホントに乾いた、いい音を出して下さる。気持ちいいです。
キッチリと粒の揃った、歯切れのいいアコギのプレー。エレキとなれば軽やかな、独自のスタイルで魅了させて下さる。ナッシュビルに行って来たと聞いて、なるほど・・うなずけました。「ナッシュビルの風」をたっぷり堪能していただきましょう。アコギと歌で始まるバラードは実にキッチリと、すばらしいギターワークでサポートしていただきました。随所に『技』が光っております。

 最後に、このところ作詞陣としてすばらしい『詞』を提供して下さっている、及川眠子さんと只野菜摘さんにも心から感謝したいと思います。ホントにいい詞を書いていただきました。アルバムに品格と、より深みが加わった気がします。さすがプロの手腕、恐れ入りました!。

 それぞれ独特のカラーを持ったアーティスト、ミュージシャンに参加していただい『Trinta』は、記念アルバムにふさわしい、すばらしい仕上がりとなったことは言うまでもありません。皆さんに心から感謝したいと思います。ありがとうございました。大橋の30周年はこれからが本番です。4月21日にリリース、そしてこれを引っさげてライブに突入したいと思います。乞う御期待!!。
 後はプロデューサーであり、まとめ役にまわるケンちゃんの曲です。全体を眺めつつ馴染みの良い、時にはシメに成りうる曲を提供していただく訳(いつもの事なんですけど)。彼には、歌入れのディレクションもお願いしているので、レコーディングはホントに重労働だと思います。おまけにコーラス・アレンジはもちろんの事、コーラスやヴォ-カル要員としても引っ張り出すわけですから、追われっぱなしの状態が続きます。ホントに御苦労さまでした。

 重労働と言えば、この方もですよ。今回は9曲中、2曲は作家にまるごと預けられたとしても、他の7曲に関しては全アレンジ、アレンジ補佐としてかかりっきりでしたから、それはもう大変!。家でコツコツ、スタジオに入って又コツコツ。コンセプトとイメージに添いながら、アイディアを盛り込む。もちろん他の曲との関連や、色合いも意識しつつですよ。「重箱の隅」をつつくような作業から一転、大海を眺めるべく全体を整える作業まで。緻密であり且つ、大胆な発想も必要とされるという大変な仕事です。忍耐力は半端じゃありません。ここ数年に渡って、付き合っていただいてますがホントに感謝しております。今回も又、すばらしいアレンジの数々、ありがとう。お疲れ様でした!。

 仕上げの総まとめとして、大事なのがこの人です。「もう一人のアレンジャー」と言うべき、レコーディング・エンジニアの中山さんです。先ず最初に、音を録り込むところが実は大事なんです。曲とアレンジと音味の全体で、完成形を想定して、一つづつの音を録音して行くのですから。キャリアはもちろんの事、やっぱり音楽センスが必要となります。この曲をどんな「世界に」仕上げるか・・・です。この曲をどう聴かせるか・・・と言うのが仕事な訳です。もちろんその前に、プレーヤーにいい演奏をしてもらうための土台造りも大事ですが、これはもうバツグン。日本のエンジニアの中では一番信頼できる、と太鼓判を押しましょう。実に、気持ち良く歌わせてくれるのです。そして仕上がりは、品がいい。もう10年以上のおつき合いになりますが、安心してお任せしちゃいます。年代が近いのもあって、聴いて来た音楽がほぼ同じと言うのも大きなポイントですね。今回のコンセプトの「懐かしいけど新しい」はまさに、ぴったり!。ホントに一から、最後の最後までの長い道のり、御苦労さまでした。

 そして拘束時間が長いと言えば、中山さんと二人三脚のアシスタントである斉藤君でしょう。何しろ黙々と作業していました。若干22歳ですが、なかなか根性のありそうな、好青年です。繊細で、地味で、忍耐力の必要な仕事ですが、明るく軽やかにやってくれました。スタジオ内の空気もそれによって、和んだように思います。長い時間、顔を突き合わせている訳ですから性格も、センスの次に大事な要因であることは確かです。
ホントにありがとう、御苦労さんでした。

 もう一人のエンジニアを紹介しなくてはいけません。何と!若干、26歳の近藤まなみさんです。みんなコンちゃんと呼んでいます。中山さんの一番弟子で、既に業界では女性エンジニアとしてプロ・デヴュ-しています。以前、中山さんのアシスタントで会っていました。今回はエンジニアとしての登場です。中山さん推薦だけあって、耳も良く、音楽センスもなかなかです。年代のギャップもいい判断材料となり、お互いに刺激し合うと言う、面白い場面もありました。中山さんの音作りを知り尽くしているコンちゃんです。ダビング作業ももちろん、スムーズに進みましたよ。これからの活躍をおおいに期待したいと思います。頑張ってね!。

 まだまだ紹介したい方々がいるんですけど・・・それは又、次回にしましょうかね?!。 つづく

 3月に入り、いよいよ春だ・・・と思いきや、この風の冷たさはなんでしょう?。冬に逆戻りしたようで思わず、厚手のセーターを着込んでしまいました。確実に日は長くなって来ているのに・・・身体と気持ちのアンバランスに、戸惑っている今日この頃です。

 レコーディングが終了しました。去年の12月から手をつけ、結局2月いっぱいまでかかりました。1月からは途中に、極寒ツアーだの、イベントだの、ジョイントだのと、ステージが合間をぬってありましたので、気持ちの切り替えが大変でした。とは言いつつ、ヘビー・ローテーションも乗り切ってみれば、それはそれで楽しかったんですけどね。それよりも、よく予定通りに行ったこと!!。

 今回のアルバム『trinta』(トリンタ)は全9曲で、予想外の豪華な顔ぶれとなりました。うれしい誤算というか、企画段階では考えられなかった偶然の出会いや、再会が形に出来たこと。それが、このアルバムを見事に充実させてくれました。中西圭三君とのデュエットはそもそも斉藤ノブさんのひらめき(?)が発端なんですから。昨年、ノブさんプロデュ-スのイベントで、圭三君と歌ゲストとしてご一緒したんです。彼とは前に一度くらい、お会いしたことは会ったんですけどね。大いに盛り上がったステージの打ち上げの最中、ノブさんがいきなり「そうだ、圭三と純平と一緒に歌えばいいじゃん!、ね?!」。これがきっかけなんですから、面白いものでしょ?!。おまけにデュエット以外にも2曲書き下ろしていただき、これまでにないエッセンスを加える事が出来ました。

 若手の加藤大祐君は大きな、優しさの溢れるバラードを作ってくれました。(音域が広くてちょっと大変でした)すでに大活躍中で注目株ではありますが、繊細かつ、才能あふれる若手として、大いに期待できるでしょう。ミュージシャンとして、作家として、アレンジャーとして。何より、性格がいい。ちなみにお父さん、お母さんが私のファンだというのも大きなポイントですかね?。御両親によろしく!。

 崎谷健次郎さんにはこれまでも、何曲か書いていただいてます。今回も70年代のテイスト溢れる、ステキな曲を提供して下さいました。独特の「ノリ」にはいつも苦労しますが、いい勉強になります。メロディーがとてもいいので難曲に聴こえないから難しい。それにしても、デモに入っている御本人の歌声には感動しますよ。可憐で、きれいな高音なんですから。私より高いかも?!。

 そしてやはり、目玉と言うか、毒というか(失礼?!)この方ですよ。「美乃家時代」を知っている方なら御存じ、土屋昌巳さんです。思えば昨年12月、偶然の再会が端を発し、参加していただく事になったのです。先ずはギタリストとして、『星を探して』に凄まじい(?)ソロを御披露して下さいました。レコーディングの時の唖然とした全員の顔は今でも忘れられません。それくらいインパクトがあり、独創性があるんです。魂を揺さぶられるような緊迫感と瞬発力の凄さ。まさに「身を削る」ようなソロ・・・です。あらためて彼の「技」を見た一瞬でした。病み付きになるって、こういう事?!。

 楽曲の提供も快く受けてくださり、ファンキーな曲を仕上げて下さいました。「美乃家の時の様なのでいいの?」と言いながら、ちょっと大人っぽくて、力の抜け具合が程良い曲。歌詞はやっぱり、本人よね?!。この個性は他の誰にも書けませんもの。押し切ってしまいました。ドラムとキーボード以外は全部一人でダヴィングしたのですから、忍耐力、持続力にもおそれいりました。作業も大詰めに来て、いよいよ間奏のソロの場面。「何が起こるかわかんないので、一回目からとっといて(録音して)くれる?」と言ったかと思うと、一気に弾き切りました。『完璧!』。10時間くらい地味なスタジオ作業をこなして、『ハナ』であろう「ソロ」は一分もかからなかったくらい。それも一回で決めるところなんざ、流石です。アッと言う間の早業(はやわざ)でしたね。みんな、「へっ?!」っていう顔してましたっけ。いやいやお疲れ様でした。つづく