アーカイブ

2002年4月アーカイブ

 ずいぶん間が空いてしまいました。今月は急きょレコーディングがあったり、それのジャケット写真撮影があったり、ニューヨークの友人が帰国して恒例の食事会があったり・・・慌ただしく過ぎてしまいました。何より大きな出来事は父が亡くなった事。覚悟はしていたのでそれほどショックは大きく無かったけど、これで両親ともいなくなった・・・と思うとやはり、頼り無い気分になります。幸い病気では無かったのでそれだけが救いです。いわゆる老衰というやつです。90才でしたから「大往生」を遂げたという訳で、割と落ち着いて向かい合えました。ちょっとだけ「父の人生」は・・と、振り返ると感慨深いものがありましたけどね。戦争経験者ですから大変な時期を過ごして来たのは言う間でも無く、私達4人の子供達をその中で育てて来てくれた両親には心から感謝しています。こういう事は生前に言うべきなのでしょうが、この時が来るまで考えた事もないんですから。それより照れくさくて言えませんよね。90年という長い人生ではありましたが、その反面何ともあっけない気がして、不思議な気分です。レコーディングの直前やっと、あの大風邪が治りかけた頃でしたが、風邪をぶり返しちゃって大変でした。涙と鼻が一緒になってダラダラ流れるは、くしゃみは止まらないは、頭痛はするは・・・。実際、人間なんて冷たいものですよね。そんな状態でこの後のレコーディングを心配してる私がいるのですから。「とにかく風邪を何とかしなくっちゃ・・・」って。

 心配していたわりにはレコーディングはスムーズに進み、イメージ通りに仕上がりました。『微笑むための勇気』は去年のニューヨークの事件もそうですが、今も終わっていない「戦争」に対するメッセージを歌にしたものです。いつかは終りが来る命ですが突然、人の作為によって奪われるものではありません。多くの事件や事故もそうですが無念さを思うと切ない気持ちになります。残された人達の悲しみは計り知れません。同じ悲しみを背負う人がこれ以上増えないように願い、また背負った悲しみに押しつぶされないように、乗り越える強さを持ってもらいたい・・・生きる事がどれほど大切なのか、そんな思いを歌にこめました。優しい、暖かい歌にしたいと私の中でイメージがハッキリしていたので、スムーズに運びました。この歌はイントロのサックスの"ひと泣き"で決まりました。あとはコーラスの力強さとあたたかさ、そして後奏に出て来るコーラスによるメ−セージがしみます。今回の曲の私の好きな部分です。出来るだけ多くの人達の耳に届いて欲しいと心から願っています。