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リハーサルにて 前編

 昨日、久々にリハーサルやりました。やっと始動って感じです。2ヶ月以上空いてのステージに向けて、ワクワク待ち遠しい気持ちと不安もちょっと。何たってステージは生き物だから何百回、何千回やっても慣れるという事がないのです。勿論お客さんは毎回代わるのですから、毎回が初日みたいなものです。慣れると言ったら同じ歌を歌う場合に、歌い慣れると言う事でしょうか?。歌詞が身体に馴染んで多少不安が少ないというくらい。声も生物なので出してみないと調子がわからない。(毎日発声練習してないもので、スミマセン)ですからたとえリハーサルといえども不安な気持ちはぬぐえません。3日も、4日もリハーサルやれる訳じゃないし、今回は'バンマスのぼやき'にも書かれてたようにドラムがトラもあるというのでtwoセッションのリハでしょう。結構ハードにはちがいない。自分に不安なのね。でも一方では久々にみんなに会える、一緒に演れるという嬉しさもあるの。ったく!どっちなんだ、と。揺れる女心なのよ(こう見えてデリケートなの!)

 スタジオに入ったとたん、一気に気持ちがハイになる。「おっはよー!」。さっきまでのどよ〜んは何だったのかしら。皆の変わらない顔ぶれを見てこの2ヶ月がこれまた一気に消えちゃうんだから不思議よね。「さ〜て始めよっか?!」

 歌い出してみると間が空いてた事などなかったようにスッと馴染んでる。「ウン、調子はまあまあだ。ヨカった。」一面鏡ばりの壁に向かってセッティングしてあるので、みんな鏡に向かって演奏します。一番前、中央に私の立ち位置。丁度客席からステージを見ている状態です。普段ステージに立っていると見えない、後ろにいるメンバーの動きや、表情が見通せるの。勿論自分の歌い顔も。トラのハマちゃんも予想通りすばらしい!。全然問題ないね。つくづくいいバンドだな〜、みんな上手いな〜、と感動。歌手としての私の自負はバンドに対するこだわりが強い事でしょうか。いいミュージシャンを集めていいバンドを作り、いい演奏の中で歌を歌いたい。これが私の理想ですから。ある時はクールにメンバーを変えたり、選んだりこれまでもして来ました。アマチュアの頃からバンドに魅せられ、運良くいいバンドの中で歌って来たので、単なるバックでは物足りないのです。私もバンドの中のヴォーカルと言う、いちパートを担っているというのが心地いいのです。過去に'美乃家セントラルステーション'というバンドでやっていたのがまさに、それです。ひとり一人がただ演奏者だけではなく、その元になっている感性や、センスや、技術、音楽の素養が重要なのです。私はそれらをみんなから吸収したい、学びたいのです。周りのレベルを高くして私自身を駆り立てるのがねらいです。いい演奏には憧れるし、うっとりしちゃいます。その中で歌っている自分のなんと!気持ちのいい、誇らしい事。ステージは恐いけど魔力があります。そして刺激も。

 一昨年デビュー25周年のアルバムを制作するにあたり、久々にこのバンドでレコーディングしたいと思いました。バンドのバランスがとてもいい、期待できる、そう直感したから。音楽的にも人間的にもバランスもなかなか思うようにいかなくて、もう'美乃家‥‥'みたいなバンド形態は不可能なことと諦めていましたから、「今ならイケル!」と思った時は燃えました。この時代に贅沢と言えるバンドレコーディングを実現しちゃいましたよ。ホントに久々に手ごたえのあるアルバムが出来ました。作品というのはいつも'完璧'を目差しながら、終わったそばから反省と次への目標が生まれるもの。その意味でもいいスタートになったと実感しています。『タイムフライズ』がそれです。

 バンド経験からの教訓は'いい時は長続きしない'こと。趣向や、テクニックや、目標や、勿論性格も、バランスが崩れ出すと終わります。長続きするコツは全員の前向きな努力しかないみたいです。今のメンバーがいいのは、それぞれの個性は違ってもお互いを尊重し合えることと、前向きなことでしょうか。若い時とは違うキャリアと、十分な技術と包容力が今はあるというのかな。何が大事なのかわかっている、というのが大きいことです。今このメンバーでバンドになって5年になります。'いい時'というホットな状態はまだまだ健在です。このままいい安定の仕方で固まりになっていけたら理想的です。多分期待出来るでしょう!。